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「心の闇鍋したらどうです!」
糸色先生がそう叫んだとき嫌な予感がした。 はじめは奈美ちゃんたちが内履きや消しゴムの入った普通な闇鍋をしていたんだ。 そして先生が「心の闇鍋」を提案し、掴んだ瞬間に心の闇が広がるような恐ろしい闇鍋が始まったのだ。 「心の闇鍋を開催します。さぁ各自順番に箸をつけてください」 やばい、先生の格好可愛い。 妙に気合入ってるなぁ、お米も入ってるし。 そう思って鍋を見ていると奈美ちゃんも同じことを思ったようで、先生にお米のことを聞くと「当然闇米ですけどね」とこれまた可愛いらしく言われていた。 「さぁさぁ、さんもやってください」 先生に箸を渡されゴクリと生つばを飲んだ。 晴美ちゃんやあびるちゃん、芽留ちゃんが被害にあい、ついにに順番が回ってきた。 心の闇とか心当たりないけど、前の人たちの見てるから何だか怖い。 糸色先生がにこにこと笑っている、早くと催促されているようだ。 「わかりました・・・いきます」 箸をつけ引き上げた物は・・・手紙だった。 「おや、手紙ですか?嫌がらせの手紙とかですか??」 「こっこれは!中学のときにもらった悲劇の手紙!!」 「あら、でもその手紙ハートのシールがついてるわよ。」 千里ちゃんがそういう手紙は可愛らしい封筒にハートのシールが貼ってあり、見た目はラブレターだった。 「ももらったときはそうだと思ったよ・・・でもこれはさよならの手紙だったんです!」 「誰からの?」 「そのとき付き合っていた人からの・・・」 そう言うと先生がから手紙を奪った、やめてください!読まないで!! 「・・・『あなたのことは好きですが、自信がありません。ちゃんは美人でかっこよくて、とても人気があるので私は不安でいっぱいです。それにあなたのとこは恋愛として好きですが、やはり女の子どうしが付き合うのには抵抗があります。ごめんなさい、私たち今までどおりお友達でいましょう』・・・え?なんですかこれ?」 「だから、前に付き合っていた女の子から渡された別れの手紙です!あぁぁぁ心が痛い・・・」 が手紙のダメージを受けていると、先生と女の子たちが円を組んで話始めた。 「あれ?付き合っていたのって、女の子ですか?」 「ちゃんはいままで女の子としか付き合ってませんよ、先生」 「可符香ちゃんどこでそんな情報仕入れるの・・・」 「最近は聞かなかったけど、一年のときは結構そういう噂聞いたよね」 「そういえば前にそんなことを聞いたような・・・さん」 円陣を崩して先生が振り向いた。 そしてこっちまで来ての手を握った。 「すみません、どうやら本当の闇だったようで申し訳ありません。私たち誰も気にしてませんので」 先生がそういうと皆が頷いた。 その慰めが心にぐさっと刺さり、は自分が居た堪れなくなって教室を飛び出した。 「ああぁぁぁ!!」 教室を飛び出してついでに学校も飛び出して、今適当に歩いてます。 それにしても傷ついた、とっても傷ついた。 あの手紙のことは忘れたふりをしていたのに、何だか泣けてきた。 色々疲れたから、コンビニで休憩しよう。 あれ? アレ糸色先生じゃない? 「あの、糸色先生!」 「!・・・さん」 「どうしたんですか?学校は?闇鍋は??」 「闇鍋は具が無くなってしまったので終わりましたよ。学校は・・・もう終わりましたよ」 「そんなあからさまに目を逸らさなくても、もサボりなので教育委員会に報告したりしませんよ」 コンビニで雑誌を読んでいて偶然前の道を通りかかった先生は、何かに怯えているようだった。 教育委員会に報告しないと言うと笑ってくれた。 結局2人ともサボりで、学校に帰るつもりもなくその辺を適当に歩き始めた。 「あの、さん怒ってません?」 「何がですか?怒ってませんよ」 「闇鍋の話です、アナタを傷つけてしまったので・・・本当に怒ってないんですか?私が勝手に手紙を読んで、元カレからのだと思ってやきもちやいて・・・しかも元カノ」 「先生余計に傷つきます。でも怒ってませんよ。の家は姉と兄がいるんですが、姉は極度の男嫌いで女の人にしか興味がありませんし、兄はそんな姉の影響で女装に目覚め男の人にしか興味がないんです。こんな兄弟のもとで育ったのでは性別はあまり気にしないんです。それにもう高校の女子はほとんど口説きましたし、今更です」 「・・・何だかすみません」 あれ?逆効果?? 先生は益々落ち込んでしまった。 「・・・糸色先生、そんなに悪いと思うのならの頼みを一つ聞いてください」 「なんですか?」 「あそこにレンタルビデオ屋さんがあります、そこでDVDもしくはビデオを借りてきてほしいんです」 「?それだけですか??」 「はい、それだけです」 そう言って笑うと先生もつられて苦笑した。 不信に思っている先生に題名を書いた紙を渡す。 「それを店員さんに見せて、借りて来てください」と言うと「わかりました」と先生はビデオ屋さんに向かっていった。 「さん!」 「先生、早かったですね。借りてきました?」 しばらくすると先生が戻ってきた。 走ってこちらに来ると大きな声で呼ばれた。 借りてきたかと聞くと手に持っていたものを渡された、ちゃんと借りてきたんだ・・・。 「さん!これ、アダルトビデオじゃないですか!!」 「ビデオ借りてきたんですか?DVDがよかったんですけど」 「DVDですよ!しかもこれ女性同士の・・・」 「あぁ女性しか出てこないAVですよ」 「絶望した!!彼女の性癖に絶望した!!」 「いや、これ姉が借りて来いって・・・でも借りれないし、助かりました」 「やめてください!お礼なんていりません!!」 先生はしばらくうなっていたけど、ここが街中だと思い出すとの手を引っ張って学校に向かって歩き出した。 何だか楽しくってその手をぎゅっと握り返した。 |