ゴオオオと激しい雨風が校舎を叩く。
その音に思わず窓の外を見ると「台風」と言う言葉がぴったりと当てはまる程の荒れようだ。


「「帰れるかなぁ」」


がそうつぶやくのと同時に近くの席の奈美ちゃんが同じことをつぶやいた。
そのシンクロにが「運命だね奈美ちゃん!」と授業中にも関わらず言えば「さん自重してください」と黒板に字を書いている先生に言われてしまった。
と奈美ちゃんは顔を見合わせて力なく笑った。
今日、この荒れ模様の中帰るのかな・・・。

「おー台風の目ですね」


そう言ったのは可符香ちゃんで、その言葉の通り外はすっかり晴れていた。
今日の授業も終わり、たちは帰り支度をして外へ出てきていた。
先ほどまでの荒れようは何だったんだ、と文句も言いたくなるくらい良く晴れていて清々しい。


「中心って本当に無風なんだね」


空を見上げると太陽が真上にいて、それを中心に雲が円を書くように晴れていた。


さん、台風に限らず周りが荒れていても中心は静かなことが多いのです」
「どう言うことですか?」


がそう聞くと糸色先生が「あれをご覧なさい」と視線を向ける。
それに続いてたちもそちらに視線を向けた。
そこには人が3人いて、何か言い争っているようだ。
足元を見ると段ボールに入っている犬が見えた。
「喧々諤々の言い争いをする一家」と先生が状況を説明している。
どうやらその犬について家族で言い争いをしているらしい。
そんな家族とは違い、静かにくーうんと鳴いている犬。


「ペットの教育方針で激しく対立すつ家族、その騒動の張本人は実に平穏」
「た、確かに・・・」


「あれだってそうですよ!」と先生は更に続ける。
「野球の乱闘だってきっかけとなった当事者は冷静なケースが結構あります!」や「一人の女をめぐるトラブル!しかしその中心にいるはずの女は他に男がいるので完全に無風状態!」など。


「数多の世の騒動のほとんどが中心が一番静かだったりするのです!」


そう言ったあとに先生は「絶望した!騒ぎの中心が静かな世の中に絶望した!」と叫んだ。


「台風の目は無風なのです!」
「先生が言うなって感じですが」
「え、あびるちゃん達その傷どうしたの?」


あびるちゃんの意見に「ほんとだよねぇ」と軽い感じで返そうと思って彼女の方を見ると、近くにいる千里ちゃんや真夜ちゃんやまといちゃんまで包帯などが巻かれていた。
あびるちゃんはいつもの事として、他の皆はどうしたの?
そう思っていると奈美ちゃんが「先生の周りは嵐みたいなものだから」と耳打ちしてくれた。
嵐?・・・え、皆、バトルしちゃったんですか?


「先生ー交くんが謝りたいそうです」


が考え込んでいると可符香ちゃんが交くんを連れてやってきた。


「宿直室のガラスを割ってしまったんですって」
「危ないですね、ケガしたらどうするんですか」
「めっ」


コツンと先生が軽く交くんを小突いた。
その様子も可愛いですが、的にはその「めっ」って言うのがツボです!
萌えポイントでした!クリティカルヒット!
ちゃん大丈夫?」と隣にいた奈美ちゃんに言われ、悶えていたが「昇天する」とつぶやくと「あぁ、そう」と笑顔でしかし冷たく言われてしまった!
奈美ちゃーん!そんな目で見ないでください・・・。


「ん?・・・何でしょうか」
「体罰教師は即刻辞めろーっ!」


先生が視線を向けた先を見るとお母さん世代の女性が何人も集まっていた。
そして「体罰」と言う言葉が発せられる。
体罰・・・?
もしかして、さっきの「めっ」の事ですか!?
「体罰は良くないですね」と先生が人事のように言うので「糸色望って書いてありますよ!」とプラカードを指して教えてあげると「ええーっ私?」と驚いている。


「子供を教師の暴力から守れーっ!」
「なにこの騒ぎ、オレの事?」


ぽつんと騒ぎの中心人物であるはずの交くんが取り残され、周りだけが盛り上げっている。
「体罰反対」など罵倒が繰り返される中「ひどすぎます」と先生が駆け出してしまった。
何かと心配なので「待って下さい!」とはその後を追った。

先生を追いかけていった先で千里ちゃんと奈美ちゃんがいた。
「千里ちゃんキレイな髪の毛ねえ」と奈美ちゃんが言い「ホント、キレイな髪の毛ですねえ」と先生が言う。
もその意見に賛成で何度も頷いていると「女の敵、糸色望ー!」と言う声が響いてきた。


「何でですかぁあ!」
「セクハラ教師を許すなー!」
「こ、今度はセクハラ・・・」
さん、何の騒ぎ?」


そう聞いてきた千里ちゃんに事情を説明するとあびるちゃんが「こーゆうのって当事者以外のヒマな人が大騒ぎするものだからね」と言った。
あびるちゃん、それフォローなんですか?
糸色先生、段々かわいそうになってきた・・・。


「しかしよく考えてみればウチのクラスは、周り騒がせて中心無風人間だらけではありませんか!」


そう言った先生は例を挙げていく。
「引きこもりでさんざん周りに心配かけても本人いたって無風!」あぁ、霧ちゃんの事ですね。
「DV疑惑で周囲をざわつかせるも本人まったく意に介さず!」これはあびるちゃんの事ですね。
「作り話で周りを号泣されるも本人冷ややか!」久藤くんですね。


「女の子を口説いたりして周りをハラハラさせているのに本人一切気にしていない!」
「えっと、これは・・・の事ですか?」
さん!周りの人の気持ち、特に私の気持ちも考えて下さい!」


手を握られ、何故か涙目の先生がとても可愛かったので頷いて「周りも無風にしていきます」と宣言しました!
なるべく、口説いたりしないように自重していきます・・・!