もうじき夏休みです。
今年はどんな夏休みになるのだろうか・・・不安で胸がいっぱいです。
みんなは期待に胸を膨らませているようで、海辺で彼女を追いかけたり、森で彼女を追いかけたりしている様子を思い浮かべてるんだろうなぁ。
青春の思い出って何故か、走ってるイメージあるよね?


「期待される夏の立場にもなって下さい!」


教室で糸色先生が「夏休みの過ごし方」を持ったままそう言った。
「だいだい皆、やみくもに夏に期待し過ぎです」と期待し過ぎの例を挙げる。
まぁ、確かに夏は何かありそうな気がしますけど・・・。
「ないない、そーゆうのまずないですから」と糸色先生は手を横に振る。
あっ今の仕草可愛い・・・もう一回やってくれないかなぁ。


「この学校では夏に期待するのは禁忌とされているのです」
「彼が悲しむから」


可符香ちゃんが野球のユニフォームを掲げると雷が光った。
何故このタイミングで雷がなるのだろうか・・・糸色先生の顔が怖い。


「ダメじゃないですか、持ってきちゃ!」


「何ですか、それ?」とが聞くと、昔のこの学校のエースだった子のユニフォームだと糸色先生が教えてくれた。
そして彼は期待はずれのプレーをし、責任を感じて川に身を投げて亡くなったらしい。


「以来、夏に過度な期待をすると彼の霊が現れ悲しむという言い伝えがあるのです!」


皆の顔が青ざめる。
「れ・・・、霊だなんてバカバカしい。」と言う千里ちゃんも少なからず怖いようだ。
「むやみに期待さえしなければ大丈夫です」と先生が言った。


「まあ別に、何も期待してないけど」
「確かに・・・」

その後、ユニフォームは黒板のふちにハンガーで吊るされていた。
「あーこれ面白そーじゃな」と雑誌を読んでいる奈美ちゃんが隣にいたにそこページを見せてきた。
デスニート?う〜ん、どうなかぁ??
そんなことを思っているとユニフォームの背番号がふわふわと飛んで、糸色先生の背中にぴたっと引っ付いた。
え?
「はあああああ」と叫ぶ先生。
えぇっ?何が起こってるの??


「今期待したろ!面白そーって!」


ひっと息を呑む皆。
またまたタイミングの良い雷で怖さが倍増する。
糸色先生・・・どうしたんですか!?
「大変!先生に期待の星の霊が取り付いたわ!」と可符香ちゃんが言った。
「霊って本当だったの!?」と期待していなかった分、驚いてしまった。


「期待すんなよ!何も期待すんなよ!」


「期待はずれはオレだけか?期待はずれはオレだけなのか?」と糸色先生・・・ではなく期待の星の霊が言った。
「なんとかしないと!」と奈美ちゃんが言い、可符香ちゃんが「期待はずれのものをお供えするのよ!」と言っているのが聞こえていたがはそれよりも糸色先生が「オレ」と言ったりいつもと違う口調で喋るのに少しときめいていた。
先生、いつも可愛いのに今は何だかカッコイイです・・・。
「期待はずれはオレだけか?」と問う先生に可符香ちゃんが期待はずれなものを差し出した。
すると気に入ったようで、ふふふと笑い出した。
「もっと期待はずれなものを!」と期待はずれなものを要求するので皆が次から次へと期待はずれのものをお供えしていく。
「ああ素敵だ!どれもこれも期待はずれだ!!」と期待はずれのものに囲まれて嬉しそうだ。
だが、「まだいる!期待しているやつらがいるぞ!」と先生が言うとマリアちゃんが「そいつらを期待はずれにしてくるヨ」と学校を飛び出していってしまった。


「お前、オレに期待しているだろう?」


急に先生がの方を向いてそう言った。
「もっとその口調で喋らないかなぁとか期待してるだろ!」との思っていたことを言い当てた。
ちゃん、期待しちゃ駄目よ」と奈美ちゃんが言うが、どうしたら・・・!


「こうやって手を横に振って『ないない』って言ってもらってもいいですか?」
「?・・・ないない」
「・・・可愛くない」


「なっ!?」と先生が驚いているが、やっぱり糸色先生は可愛くなくちゃ。
これでの期待もなくなり、「安心して成仏してください」と可符香ちゃんが言っている。
「うむ、そうかもう期待するなよ」と先生がの方を見る。
すみませんでした・・・。


「これでオレも安心して・・・まだいる!」


「まだオレに期待している者がいるぞ!」と先生は校舎の外に飛び出したので、たちも慌てて外に向かった。
外へ向かうとダンボール箱の中に捨てられた猫が拾われるのを期待していた。
猫の寂しげな瞳に負けたのか「うちマンションでペット禁止だから」と先生が言っている。
すると先生が「また期待に応えられなかったああ!」と叫んで走り出してしまった。
「期待するなよ!期待するなよ!」と繰り返し言っている・・・すごいデリケートな人だな。


「まさか五十嵐なのか?」


声のする方を見るとおじいさんがいて、霊も「谷口か!」と言っている。
どうやらおじいさんは野球部員だったらしく、五十嵐さんに「オマエのせいで負けたんじゃない」と言った。
おじいさんの言葉に感動した、五十嵐さんも心を打たれたようで「もう行くよ」と先生から出て行こうとしている。
「よかった」とつぶやいたのもつかの間、おじいさんが「最後に一つだけ言わせてくれ」と言うのではどんな感動的なことを言うのだろうかと期待した。


「誰もオマエなんか、期待してなかったんじゃ!」


「え」と聞き返す五十嵐さんにさらに追い討ちを掛けるように真実を口にするおじいさん。
「期待して損だった!」とが思わず叫んでいると先生の背中の背番号がはらりと背中から離れた。

「私は今まで何を・・・?」
「糸色先生大丈夫ですか?」
さん、一体何があったんですか?」
「大したことじゃないです、期待するだけ損ですよ」
「はぁ・・・」
「ところで先生!こうやって『ないない』って言ってください」
「えっ・・・ないない」
「やっぱりいつもの先生が一番(可愛)いいですね!」
「?」