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「おや、さん」
「糸色先生・・・先生もサボりですか?」 「えぇ。さんも、ですね」 「まぁそんなところです」 保健室のベットで本を読んでいると、糸色先生がやってきた。 先生は疲れた様子で隣のベットに腰掛けた。 ベットの間にカーテンは引かれておらず、先生が視界に入ったが面倒なのでそのままにしておいた。 「ところで、何読んでるんですか?」 しばらく沈黙が続いていたので先生の声が良く響いた。 「性について」 が膝の上に乗せていた本の表紙を先生に向け、そのタイトルを言うと先生はその本を勢い良く奪った。 まだ、読みかけなんですけど。 「・・・こういうの見るのやめなさい!」 糸色先生はそう大きな声で言ってその本を閉じて遠くに置いた。 保健室の本ってこんなんばっかりですよ、と言おうと思ったが先生に怒られそうなのでやめておく。 「・・・そう言えば、糸色先生はクリスマスベイビーでしたよね?」 暇になったので、思いついたことを言ってみた。 先生は嫌そうな顔をして「そうですが、何か?」と聞いた。 「先生のお父様とお母様が聖なる夜に盛り上がり、セックスをして、優秀な精子が偶然排卵された卵子とものすごい低い確率で受精して、細胞分裂を繰り返してその約10ヶ月後に生まれたのが先生なんですよね」 「・・・言ってることは保健の授業みたいですが、アナタが言うと卑猥です」 「そうですか?」と言うと先生は黙ってしまった。 ちょっとからかい過ぎたかな? 「とっところでさん、毛布掛けてますが寒いんですか?」 「はい、ちょっと」 「そう言えばあまり顔色も良くありませんね、風邪ですか?」 「生理なんです」 「へっ??」 「生理痛でお腹が痛いんです」 そう言うと先生は益々ばつが悪そうに視線を泳がせた。 「・・・いつもなんですか?」 「痛いのはたまにですよ」 「今も痛いですか・・・?」 「そうですねぇ、先生と保健室で2人っきりと言うおいしいシチュエーションなのにいまいちテンションが上がらない、という程度に」 「・・・わかりました、私も寝ます」 そう言うと先生はのベットに上がり、「ほら、寝ますよ」と言って一緒に横になった。 「こうすれば寒くないでしょ?」 「生理って近くにいるとうつるっていいますよ?」 「生憎と私は男なので」 「・・・あったかいです、糸色先生」 (夢見がち保健室) 久しぶりの連休がやってきた。 ハッピーマンデーとか何とかで、月曜日が休日になったのだ。 この連休は毎日午後近くまで寝て、朝昼兼用のご飯を食べて録画したドラマや映画を見て過ごすという計画がある。 土曜日は計画通りに過ぎていった。 ちょっと寝すぎて首が痛くなったが、その他は問題なく終わった。 日曜日も夕方までは土曜日と同じように過ごしていた。 ただ、日が暮れてくるとだんだんとイライラとした気持ちになってきた。 いや、モヤモヤと言うか、情緒不安定な気分になった。 原因が良くわからないまま、糸色先生の携帯へ電話を掛ける。 これは2日に一度行っている、「先生可愛いですねコール」だ。 はわざわざ学校がないときは電話する。 ある意味嫌がらせだ。 ほら、好きな子に意地悪したくなっちゃうでしょ? 『はい、糸色です』 「こんばんは、です」 『さん用の着信がなったので、わかってましたよ』 「先生も、いちいち名乗らなくてもいいのに」 『それもそうですね、今度から気をつけます』 「先生ってやっぱり可愛いですね」 『またそれですか、そんなこと言われても嬉しくありませんよ』 「は楽しいです」 『・・・まぁいいです。さんの声が聞けたので良しとします』 「・・・やっぱり先生は可愛い人です」 『あんまり言わないでください、落ち込むので。それは置いといて、休み中に怪我とか病気とか気をつけてくださいね』 「はい、先生も」 『えぇ、ではまた火曜日に会いましょう。おやすみなさい、さん』 「おやすみなさい、糸色先生」 いつの間にか、イライラやモヤモヤが消えていた。 (あなたはきっと魔法使い!) |