――『さよなら絶望先生第六集第五十七話「ゼロの特典」』より――

「もっと悲しまれる死に方ってどーゆうタイミングですかね」


「大衆受けならサナトリウム文学っぽいのでしょうかね」
「なるほど」

海の近くの大きな病院、そこに糸色先生が入院している。
週末にお見舞いに行くのがいつの間にか習慣になりつつあった。
はお花と果物を持って先生の病室に向かう。
本当は、まだ慣れない。
病院の独特の匂いとか、病室までの道のりとか、糸色先生の病気のこととか。
何故こんなとこになってしまったのか、何故先生がこんな目に遭うのか・・・。
暗い顔をしていては駄目だと自分の顔を軽く叩いて笑顔を作る。


「糸色先生、こんにちわ」
「おや、さん。来てくれたんですね」


「当たりまえですよ」と笑みを作って先生のベッドの傍の椅子に腰掛けた。
と先生は付き合っていた、その事実は今も変わらないが先生が病気だとわかり始めの入院のときに「別かれましょう」と言われたことがあった。
先生はに迷惑を掛けまいとそんなことを言ったのだと思う、当然はその申し出を拒否した。


「糸色先生、林檎食べますか?果物たくさんもってきたんですよ」
さん・・・名前で呼んで下さい」
「・・・望、先生」


「すみません急に、これからそう呼んでください。・・・また来週も来てきれますか?」と先生が微笑みながら言った。
急に目が熱くなった、視界がぼやけるがは何度も頷いて「当たり前です」と震える声で言ったのだった。

望先生は亡くなった。
次の週末を待たずして、この世から居なくなってしまった。
先生の葬儀が終わり、は棺の前に座り込んでいる。
家の方には迷惑だとは思うが、ここから動けないでいた。
すると倫ちゃんがの隣まで来て、小さな箱と手紙を渡してくれた。


「お兄様からあなたに、ですわ」


そう言われ小さな箱を開けると、中には指輪が入っていた。
状況を理解できず手紙を慌てて読むと、婚約指輪と言う言葉があった。
そして手紙の最後に「ありがとう、愛しています」と書かれていた。
は声を上げてその場に泣き崩れた。
先生の前でこんなに泣いたのは初めてだった。

「こんな感じですか?」
「これは悲しすぎです!」



(何となくしたかっただけですので、あまり気にしないでください)